25周年を記念して

縄文人がついにアリストテレスに出会う⁉
~縄文的価値ある出会い~


◇発端


数千年前の日本――ひとりの縄文人が、ふとこんなことを思った。
「本物のリーダーとは、どういう人物だ?」


すると、どこからともなく、こんな声が聞こえてきた。
「おまえたちに続く文化の連中が、いろいろ実験しながら探求しているよ」


そこで、タイムトンネルを通ってやってきたのが20世紀後半の日本。
縄文人は思った。「さすがに発展しているなあ。しかし、リーダーがカネの話しかしないんだが、本当にこれでいいのか?」


案の定、日本はアメリカでもヨーロッパでも中国でも、ボコボコにされてしまった。
「ダメだ。アイツらとは土台が違う。なんで日本人の土台はこんなにヤワなんだ?」


そこで、確かな日本人の土台を求めて、タイムトンネルで時をさかのぼった。
「フムフム、江戸時代の日本人は、みんな寺子屋や藩校で『論語』を読んでいたのか」
縄文人は、論語を読んでみた。


「昔の日本人は土台を持っていたんじゃないか。これをもっと身体に落とし込むためには?」


縄文人は、さらに時代をさかのぼり、禅と出会った。
「そうか、自分の土台をつくるためには、自分を手放す必要があるのか」
縄文人は、坐禅を組んだ。


東洋の叡智とやらにも触れてみて、縄文人が21世紀に戻ってくると、世界は「グローバル化」がますます進んでいた。
「いくらこっちの土台を固めても、結局アイツらの土台を理解しないと勝負できないってことか」
縄文人は、タイムトンネルで孔子先生宅の庭掃除やナーランダ学院の門番の手伝いをしながら、シルクロードをトボトボと西に歩いた。そういえばナイル川のほとりで大きな三角形の石の山を作るのも手伝った。
辿り着いたのは、古代ギリシャである。


ソクラテス、プラトンをはじめあらゆる学問を教える学校があると聞いて行ってみると、驚くほどの熱気にあふれていた。
先生が教室での講義を終えて廊下に出ても、生徒たちはずっとついて歩いて質問したり議論したりしている。
この先生が、アリストテレスだった。
縄文人は、翌日から教室の隅で講義を聞き、生徒たちに交じって廊下を歩いた。
そして思った。
「この先生に学び続ければ、求めていた本物のリーダー像を明らかにできるかもしれない」と。
暫く経つと、こうも思った。
「これは、数千年前のオレたち縄文のリーダーが言ってたことと、ほぼ同じなんじゃないか?」と。


――以上、縄文アソシエイツの出発点とその後の25年の歩みを、端的かつ象徴的にまとめてみました。
「本物のリーダーとは?」に関心を持たれた方は、日本のアリストテレス研究の碩学、荒木勝先生との対話篇にお進みください。



荒木勝先生 プロフィール

1949年愛知県生まれ。
名古屋大学法学部卒業、名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位修得退学後、国際基督教大学博士(学術)取得。
名古屋大学法学部助手、岡山大学法学部講師、ポーランド科学アカデミイ歴史学研究所研究員を経て岡山大学法学部教授(西洋政治史)。
ポーランド共和国ポズナニ大学歴史学部客員研究員、英国ケンブリッジ大学古典学部客員研究員ののち岡山大学大学院社会文化科学研究科教授、岡山大学社会文化科学研究科長、岡山大学理事・副学長を務め現在は名誉教授。
著書に『アリストテレス政治哲学の重層性』(創文社)、翻訳にアリストテレス『政治学』(ギリシャ語、岡山大学法学会雑誌)、『匿名のガル年代記―中世ポーランドの年代記』(ラテン語から、麻生出版)などがある。

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