リーダー像のご紹介日本を代表するリーダーの声をご紹介

リーダー像のご紹介

株式会社経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO 冨山 和彦氏

プロフィール

1960年生まれ。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。解散後、経営共創基盤(IGPI)を設立。さまざまな企業の経営・再生支援を手掛けている。
オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、経済同友会副代表幹事
東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格

『あれも、これも』と『あれか、これか』

日本社会では、物事の9割についてはすり合わせで行う方が上手くいくと思います。特にものづくりの場合は、コストダウンと品質向上などの一見矛盾することの両立が必要になるため、『あれも、これも』のすり合わせ力で勝負する方が、日本の企業が得意とするOperational Excellenceに繋がることが少なくありません。しかし、グローバリゼーションやデジタル革命などの流れが止められない中で、残り1割については、確実に『あれか、これか』という白黒はっきりさせないといけない決断を迫られるようになってきています。ものづくりの分野ですら、川上と川下の事業に付加価値が集中し、製造や組み立てそのものにはほとんど付加価値が着かなくなってしまった状況下で、投資や撤退などの重要な決断を迫られる機会はますます増えてきています。これからのリーダーにとって一番大事な仕事は『決断』することであることは間違いありません。

決断する力

決断力といった場合、的確な判断をするという意味では、論理的な判断を行うことはそこまで難しくありません。ただ通常のボトムアップ型、すり合わせ型の意思決定では、最適なタイミングで的確な決断を行うということは非常に難しい。そこでは、リーダー自身が、的確性と適時性の両方を満たした決断を行うことが一番重要になります。逆説的にいえば、そういう決断力は、リーダーの立場で決断した数でしか育ちません。自分の決断の癖を知るということを含めて、本当の意味での決断力を養うには、10年以上掛かることを覚悟しておいてください。そして決断するということは、ただ決めるということではなく、決めたことをやり遂げ、その結果の責任も負うということです。そのためには、その結果に耐える胆力と、決して判断をぶらさないための哲学が必要となります。リーダーを目指す皆さんには、タフネスさと自分なりの哲学を持った強いリーダーを目指していただければと思います。

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